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⑤放課後は大波乱!
今にも向かってきそうな勢いの男子たちに向かって拳を構える。
自慢じゃないが、俺だってそこそこ喧嘩はできるんだよ。
女装してるからってなめんなよ!
たとえ多数相手でも負けないぜ!
俺と男子3人の間に冷たい空気が流れ込む。
「おい、待てよ。こっちから暴力をふるえばあの人の思う通りにはならないだろう?」
俺に弾き飛ばされた男子が殴りかかろうとする中、1人が制した。
『あの人』
その言葉で、こいつらが誰の差し金でケンカを売ってきたのかっていうことに気がついた。
俺の脳裏にふと、ひとりの人物が過ぎる。
月夜に好意を抱き、月夜の父親と仲がいい親を持つ彼女。
『いい気にならないで』と、言い放った彼女。
――藤堂 御影 。
彼女の名前が俺の脳内にチラつく。
憶測だけで考えるのはよくない。
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