110 / 305

⑥放課後は大波乱!

 そうは思っても、今日、転校してきたばかりの俺には、誰が敵で誰が味方なのか。上手く把握しきれていない。  それに、俺に喧嘩を売りそうな人物は今日だけでも彼女しか思い当たらないんだ。 「葉桜 月夜(はざくら つきや)の許婚がさ?」  藤堂 御影について考えていると、男子の口から月夜の名前が飛び出した。  とたんに俺の胸がドキってした。  なんでだろう。とてつもなく嫌な予感がする。 「許婚のお前が乱暴な奴だってバレたらさぁ、彼の立場はどうなっちゃうんだろうね~。花音ちゃんの大事な大事な旦那様は、華道のお家元だろう? 親戚やらマスコミやらは放ってはおかないよね」  それは脅しだった。 「……だから?」  俺は怖気づいていないように見せるため、平静を装い、尋ねる。  月夜でのことなんか気にしない。  そういう態度で……。

ともだちにシェアしよう!