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⑨放課後は大波乱!
「――っつ!! いやだ!! はなせっ!!」
マズい!!
俺が男だってバレる。
――いや、この際だからバレてもいいのか?
いやいや、ここでバレたらマズい。
学校には女装したって知られるし、月夜の親父さんには訴えられるし。
そうなったら家族全員、路頭に迷うことになる。
くっそ、どうすればいいんだよ!!
俺の中でいろんな葛藤が繰り広げられる中――。
だけど相手は黙ってくれない。
また別の男子が、ブレザーのボタンを引き千切っていく。
ブチッ、ブチッ。
ボタンが千切られていくその生々しい音が俺の頭に響くんだ。
「……や、めろ」
こんなの、いやだ!!
そしてとうとう、俺はパニック状態に陥った。
俺の中に取り巻くすべてが恐怖になって襲ってきたんだ。
「いやだ。助けて!! 月夜、月夜、つきやっ!」
頭の中が真っ白になった俺は助けを求めて彼の名を叫んだ。
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