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①眠れない!
◆第八話◆
もう終わった。
だからもう怖いものなんてない。
それなのに――。
どうして?
どうして俺の体、震えているんだ?
――引き千切られたブレザーのボタンは月夜 が付けてくれた。
元通りだ。
あいつらに襲われた痕跡はない。
はずなのに……。
ガタガタ震えてる。
時刻は深夜0時。
俺は今月夜と一緒にベッドの中にいる。
カチ、コチ……。
俺の背中越しから聞こえるのは時計が秒針を刻む音。
それから月夜の寝息。
帰宅してから今の今まで平気だった。
風呂だってひとりで入れたし、月夜とは昨日と変わらない一日を過ごした。
そんな中、この広い別荘でたったひとり起きている俺は、小刻みに震える身体を抱きしめていた。
どうして今さら震えるの?
帰宅してから今の今まで全然平気だったじゃないか。
風呂だってひとりで入れたし、帰宅してからは昨日と変わらない一日を過ごした。
それなのに今は違う。
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