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③眠れない!

 しっかりしろよ俺!  何度も自分に言い聞かせる。  ……だけどどんなに自分に言い聞かせても体の震えは止まらない。  どうしよう。  どうすればこの震えは止まるだろう。  両手で体を包み込んでも震えは治まらない。  今日のことを思い出さないように首を振っても、男子の下卑た笑い声が脳裏にこびりついて離れない。 「………っつ」  ――怖い。  押し寄せてくる恐怖から身を守るため、俺は体を丸めた。 「……花音(かのん)?」  布団の中で丸まっていると、突然、背中から眠たそうな声が聞こえてきた。  しまった!!  そう思ってももう遅い。  どうやら月夜を起こしてしまったらしい。 「花音? 眠れない?」 「あ、ちょっと……寝る前にコーヒーを飲んだのがいけなかったかな……」  誤魔化さないと!  心配させてしまう!!  俺は、ははっと笑ってみせる。

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