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④眠れない!

 ――ああ、だけどダメだ。  俺の声、体と同じで震えてる。  口の中もカラカラに乾いていて、全然上手く笑えてない。 「花音、どうしたの? 何かあった?」 「――――」  尋ねられたけど言えるわけがない。  だって恥ずかしい。  同性に襲われた光景を思い出して離れないとか。  ――いや、月夜は俺が男だって知らないけどさ。  でも俺は自分を誤魔化せないっていうか――。  だから俺は布団にくるまったまま蹲っていると、急に視界が明るくなった。  パチ、パチ。  音を立てながら天井にある蛍光灯がついた。  どうやら月夜がリモコンで蛍光灯の電気をつけたらしい。  青白い光が部屋を照らす。 「花音?」  明るくなった部屋。月夜は背中を向けて横になっている俺の顔を覗き込んだ。  マズイ!  きっと俺の顔、真っ青だ。 「なんでもないっ!!」  俺は月夜をはね除け、顔を見られないようにと起き上がる。  そうしたら……。  グイッ。 「うわっ!」  突然俺の体が後ろに引っ張られた。  ポスンとやわらかい音が立ち、ベッドに倒された。 「……つき、や?」  俺の真上には、眉尻をつり上げた月夜の顔があった。  どうにか逃げようと体を捩っても、両腕でがっちりホールドされているわけで……。  逃げるに逃げられない。

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