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⑤眠れない!
どうしよう。
真っ青な顔も見られた。
「つきや……あの……」
俺、なんでがっちりホールドされてんの?
月夜の行動の意味がわからない。
俺は震える声のまま尋ねた。
「なぜ、なぜ言わない?」
それは普段の優しい月夜の声音じゃない。
いつもより少し、低い声。
目尻もつり上がってるし。
……なんか、怒ってる。
俺、月夜に嫌われたのか?
途端だった。
俺の胸が、ズキンって痛んだ。
なんで?
どうしてだよ?
俺、別に月夜が怒ってても笑っていてもどうでもいいはずだろう?
そもそも、俺は月夜に嫌われるためにここへやって来たんだ。
怒って愛想を尽かされるならそれに越したことはない。
これでいいんじゃないか。
ここで嫌われて、念願だった日常に戻ることができる。
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