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⑥眠れない!
月夜の……いない日常に……。
男として過ごせすことができるんだ。
それなのに……。
胸がズキズキする。
痛みは治まるどころか余計に酷くなる。
「……ごめん、泣かないで。ああ、俺が泣かせてしまったんだな……」
泣く?
月夜は何を言っているんだ?
真上にある端麗な顔立ちを見つめると、見る見るうちに月夜の表情が変わる。
さっきまでつり上がっていた眉尻は、今度は下がっていた。
瞬きをすれば目尻から零れ落ちた。
月夜の人差し指が、俺の目尻をなぞる。
なぞられた月夜の指先を見れば、そこは濡れている。
月夜が言ったとおりだ。
俺、泣いているんだ。
……なんで?
何が悲しい?
同性に襲われた恐怖で?
それとも怖いと思った自分が情けなくて?
まさか――。
まさか、まさか。
月夜と一緒に居られなくなるっていうことがか?
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