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⑧眠れない!

 あの時から、俺は月夜が気になっていたんだ。  そして、女子が月夜を狙っているという事実を思い知った時に感じた胸の痛み。  あれは……。  あの時考えたことは……。  俺じゃない女の子と月夜が微笑みあっている姿を想像したから……。  どうして――。  なぜ、こんなことになってしまったんだろう。  ああ、だめだ。  心配そうに眉根を寄せて俺を見下ろす月夜が――。  俺のために、こんなに悲しそうにしてくれている月夜が――。  とても嬉しい。 「やっ。これは……ちがうんだ。えっと……」 『月夜のせいじゃない』  そう言いたいのに、どう伝えていいのかわからない。  月夜が好き。  そう、伝えてもいいだろうか?  俺は月夜と同性だけど……。  でも、花音としてなら、言ってもいい? 「月夜……」 「うん?」 「わたし……」  ゴクン。  口内に広がる唾を飲み込む。  ほんの少し途切れる会話。  だけど月夜はけっして短気を起こさない。

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