129 / 305
⑨眠れない!
早く言えと、急かしたりしない。
俺が言い終えるまでジッと待っていてくれるんだ。
俺はそんな穏やかな月夜が……。
優しく微笑む月夜が……。
涙をぬぐってくれる月夜が……。
「……っつ」
……うう。
だけどさ、好きって口にするのって恥ずかしい。
あの、俺ものすごく恥ずかしいんですが……。
そんなに見ないで――。
両腕で顔を隠す。
……だけど月夜の両腕によって解かれた。
月夜の顔が近づいてくる。
ドクン、ドクン。
心臓が破裂するんじゃないかっていうくらい、思いきり跳ねる。
もうムリ。
限界だ。
「好き」
ありったけの勇気を出して告白した俺。
そんな俺を、月夜は確かめるようにジッと見つめてきた。
どうしよう。
俺の顔、とても熱い。
きっと真っ赤になっているに違いない。
ドクン、ドクン、ドクン。
鼓動が止まらない。
「……や、だ! も、見るな……」
そんなに見るなよ!
もう恥ずかしすぎるっ!!
俺を射貫くような月夜の視線に耐えられなくて、ぐっと目をつむれば……。
「俺も、花音が好きだよ」
ともだちにシェアしよう!