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⑩眠れない!
耳元で囁きかけられた。
「……っ!!」
震えが俺の全身を駆け巡った。
体がゾクゾクする。
だけどこれは恐いからじゃない。
「花音」
月夜の手が俺の頬に触れた。
「……ん」
くすぐったくて、肩を縮めた。
……恥ずかしい!!
告白したのは自分だし、どうしていいのかわからない。
そのまま視線を下ろして首を引っ込める。
そうしたら、月夜との距離がさっきよりも縮まってきているのに気づいた。
頬にあった月夜の手が顎に移り、上を向かされ……。
「月夜?」
俺が尋ねたすぐ後。
「……んぅ」
俺の口。
月夜の唇に塞がれたんだ。
はじめ、俺は自分の身に何が起きているのかわからなくて瞬きを繰り返した。
「……むぐ」
だけど徐々に自分が何をされているのかがわかって、俺の唇を塞いでいる彼の名前を呼ぼうと口を動かす。
だけど口は月夜に塞がれている。
当然、声はくぐもるわけで――。
体の芯が熱い。
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