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⑭眠れない!
「ん!! やっ……つきっ!!」
恥ずかしすぎて止めてほしくて――。
たくましい胸板を押せば、月夜との距離が生まれた。
月夜との口づけから解放されるのと同時に、リップ音が響いた。
視線の先には、にっこり微笑む月夜がいる。
「……っつ」
瞬間、俺の体が震えた。
この笑顔は優しい微笑みなんかじゃない。
でも怒っている様子でもない。
何かを企むような鋭い眼光が見える。
俺の知らない、初めて見る月夜の笑顔だった。
「あまり、可愛いことを言わないでほしい。俺と君は今、ひとつのベッドにいるってこと忘れないでね。君のすべてを奪ってしまいそうになる……」
「はぅ……ちょっ!! 耳元で言わないで!!」
耳元で囁かれる甘い言葉は吐息と一緒に|耳孔《じこう》をくすぐる。
「……はぅ」
もうヤだ。
ヘンな声出たしっ!!
恥ずかしい。
ここから逃げたい。
くすぐったいやら恥ずかしいやらで、俺はもうどうしていいかわからない。
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