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①良くも悪くもドキドキ。
◆第九話◆
「ね、花音 」
「んあ?」
「デートしようか」
「……うん、そうだな~」
それは突然だった。
いつものように朝食をとり、いつものように学校へ行く支度をし、いつものように登校する道すがら。
呆気ない言葉。
まるで、『トイレに行ってくる』っていうようなニュアンスで、月夜 は言った。
だから俺ははじめ、月夜が何を言っているのかわからないままコクンとうなずいた。
そして、1分ほど経過……。
「……って……でぇとおおお?」
やっと俺の思考が働いた。
体をのけぞらせて、隣にいる月夜を見つめれば、にっこりと微笑む彼がいた。
チクチクチクチク。
登校する生徒たちの視線が痛いです。
――はい、朝から騒がしくしてすいませんでした。
だからあんまり見ないで!
恥ずかしいでしょ!!
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