138 / 305
②良くも悪くもドキドキ。
「そんなに驚くことでもないと思うんだけど……」
月夜がクスリと笑う。
やっぱ月夜って大物だわ。
周囲の視線も気にしてない。
だけど俺は無理!
注目なんて今までされたことねぇし!
それに今、俺の隣には好きな人がいるわけで……。
頭の中がグルグルする。
っていうかさ、デートの約束とかここでするなよ!
ふたりきりになった時にしてくれよ!
そもそもほんの15分前までふたりきりだったじゃん。
その時に言えばいいじゃん!
どうして家で言わないの!?
なんで月夜はこう、公衆の面前でサラリと言えるんだよっ!!
「嫌だった?」
嫌?
違う違う。
月夜とデートするのは嫌じゃない。
そうじゃなくて……。
あまりの驚きで声が出せず、頭をブンブン振って否定する。
そしたら……。
グイッ。
「うわわっ」
月夜に腕を引っ張られた。
俺は呆気なく月夜に抱きしめられた。
ともだちにシェアしよう!