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⑧良くも悪くもドキドキ。

 昨夜はあんなに怖いって思っていたのに、ある意味すごいな俺……。  それだけ月夜のことで俺の頭がいっぱいなんだ……。  思わず苦笑してしまう。 「――?」 「あ、いや……昨日……結局倉庫の場所わからなくなってさ……ごめん」  嘘をついた。  理由はふたつ。  ひとつ目は山本に余計な心配をかけたくないから。  ふたつ目は、昨日の一件を深く探られたくなかったから。  昨日の男子3人組が俺を襲ったのは、『誰か』の差し金で……。  その誰かっていうのはもしかすると、『藤堂 御影(とうどう みかげ)』かもしれないということだ。  まかり間違えば山本にも危害が及ぶかもしれないから。  だからこれは言わない。  月夜にも、このことは言っていない。  あくまでも俺の推測だし、余計な心配をかけたくないから。 「やっぱり迷ったのね……。あんたってしっかりしているようでどこかヌケてるのよ」  山本は腕組んで何度も、『うん、うん』と大きくうなずいている。

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