147 / 305
②ズキズキを胸に秘めて。
「別にいいよ、なんか用事?」
――用事なんて知っている。
聞くまでもない。
今日、ずっと貴方を見ていたから……。
月夜の用事は女子からの告白だ。
――昼休憩中だったかな。
また違う女子から呼び出しがあって、『放課後に話したいことがある』って聞こえた。
たぶんそういうことなんだろう。
知らないフリをするのは、月夜のことは別に何とも思っていないよって虚勢 を張りたいだけ……。
どんなに苦しくても――。
どんなに側にいてほしいと思っても――。
けっして口に出さない意地っ張りな俺。
だけど本音は違う。
願って止まないのに口に出せない。
女子に呼び出された月夜の顔なんて見たくない。
俺はそっぽを向いてカバンに筆記用具を仕舞っていく……。
馬鹿だな、俺。
気にしないとか……嘘ついて。
月夜と一緒にいられる時間は少ないのに……。
俺の性別なんてきっとすぐにバレるのにさ……。
だってどう考えても男の俺が女子の中にいるのは不自然すぎる。
月夜とは、もうすぐ終わる。
ともだちにシェアしよう!