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②ズキズキを胸に秘めて。
この恋も……。
だから好きって言える時に言わなきゃ。
一緒にいられる時にいておかなきゃ。
そんなことはわかってる。
わかっている。
だけど、口にできない。
本当は――。
一緒にいて。
行かないで。
そう言いたいのに――。
ねぇ、気づいてよ。
……月夜。
「うん。ちょっと、呼ばれてね」
月夜は最後にもう一度、「ごめん」と謝ってから、俺から背を向け、行ってしまった。
こうやって……月夜は俺から離れていくんだろうか。
苦しくなる思いを否定したくて、グッと奥歯を噛みしめる。
「屋上だってさ……」
「えっ?」
思わぬところから声がした。
びっくりして顔を上げると、そこには呆れ顔の山本 がいた。
「顔に書いてるよ? |葉桜《はざくら》くんが取られちゃったらどうしよう……って」
「――っんなこと思ってない!!」
「ふうん、あっそ。葉桜くん、女子に呼び出されていたな~、かわいい女の子だったな~」
「――っつ!」
ズキッ。
また、胸が痛みを訴えてくる。
必死に我慢してるのに!
なんでそういう意地悪言うんだよ!
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