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③ズキズキを胸に秘めて。
「背の低い子でね……」
「……っつ!!」
「素直そうで、誰かさんとは大違いよね~」
「――っつ!!」
いやだ!
ガタンッ!!
俺は山本の口から繰り出される容赦ない攻撃にとうとう堪えられなくなった。
勢いよく腰を上げた。
礼も言わずに急いで教室を出る。
――月夜!
もう少し、側にいさせて!
そう祈りながら俺が目指すのはもちろん屋上だ。
やっぱり山本は察しがいい。
俺がどういう心境なのか、わかっていたようだ。
ボソッ。
「ほんっと、素直じゃないんだから……」
山本のため息混じりの声が聞こえた。
俺は走る。
5組の隣にある曲がり角を進み、非常口として使われている人がふたり並んで歩くには少し窮屈な階段を一気に駆け上がっていく……。
目の前を塞ぐ鉄の扉が見えた。
俺がドアノブをゆっくり回すと、ギィ……と微かに軋みを立てる。
空には澄み渡った青が広がっていた。
冷たい秋独特の風がスカートをくぐり抜けて俺の足に絡みつく。
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