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⑦ズキズキを胸に秘めて。

「本当に君は困った人だ」  月夜が振り向いた。  眉根を下げて笑っている。  腕が、伸びてきた。  俺はすっぽりと月夜の腕に包まれてしまう。  抱きしめてくれているんだ。  そうなると、俺の中にあった寂しいとか、苦しいとか、切ないとか、そういう感情は一気に吹き飛んだ。  なんて単純な奴だろう。  自分でも馬鹿じゃないかって思うくらい……。  でもそれだけ、月夜が好きになっているんだ。  好きだと自覚すると、この想いはいっそう大きく膨らんでいく……。  昨日より今日の方が好き。  1時間前より1分前。  1秒前より、今の方が好き。  そうやって、膨張していく月夜への想い。  まるで風船みたいに膨れ上がっていく……。  こんなに好きになってどうするんだろう。  俺が花音ではなくなった時、どうやってこの気持ちを処理するんだろう。  でも今は……そんなこと、考えたくない。

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