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⑧ズキズキを胸に秘めて。
月夜。
好き。
好きだよ?
離れたくない。
今はまだ……。
もっと月夜を感じていたい。
だから月夜の広い胸に頬を寄せて目をつむる。
すると、月夜の手が俺の顎に触れたんだ。
月夜の優しい繊細な手が、上を向くよう指示してくる。
俺は伏せた目を開けて、月夜の綺麗な顔を見つめた。
影がゆっくり被さってきて、月夜との距離が縮まる。
そして俺はまた、目を閉ざす。
唇には、あたたかくて柔らかい感触。
そっと触れるだけの、優しいキス。
だからもっと強いキスを望んでしまう。
「……あっ……」
声が漏れたのは、月夜の唇が離れたから……。
もっと欲しいと催促してしまったんだ。
……恥ずかしい。
だけどもっと、キス、したい。
だけどやっぱりこの思いを口にするのは恥ずかしい。
その代わりに月夜を見つめた。
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