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①はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。
◆第十一話◆
「花音 ごめんね、本当に、ごめんっ!」
時刻は朝9時を回ったところ。
葉桜 家次期当主である月夜 は今、顔の前に両手を合わせて、朝っぱらからいったい何回謝るんだろうっていうくらい、俺に謝っていた。
「別に気にしてない」
はじめはショックだったけれど、こんなに謝られては逆に気を遣わせているようで困る。
だからもう何も思ってない。
俺が許しているのに、月夜は何度も謝り続ける。
今日は日曜日。学校から解放される日だ。
そして今日は俺をデートに誘ってくれたわけだけども……。
このとおり。
デートはなくなってしまった。
それというのも以前、月夜に依頼されていたフラワーアレンジメントの仕事が急遽入ってしまったからだ。
月夜に仕事を依頼したのはウエディングプランナーの和泉 ココノさん。
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