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②はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

 なんでも挙式予定は1週間後ということでプランを練っていた先方が、4日前倒しで式を設定してほしいと無茶苦茶な条件を出してきたらしく、月夜は今日の午後1時に会場へ向かわなくてはならなくなった。 「本当にごめん」 「いいよ別に……。本当に何とも思っていないから」  何度も何度も繰り返し謝罪する月夜がなんだかかわいい。  俺ってば単純だから。  すぐ顔に出てしまうわけで……。  閉じた口が(ゆる)んでしまう。  だって月夜はまだ俺と同じ高校生なのに懐が広いし、いつもニコニコ穏やかだ。  だけど今は違う。  月夜、とても焦っている。  そんな月夜を見ていると、やっぱり俺と同い年なんだと思える。  それがとても新鮮で、とても嬉しい。

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