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③はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。
月夜も俺も同じ人間なんだと思えるから……。
だけどさ、やっぱりデート行きたかったな。
なくなっちゃうのはちょっと悲しいわけで――。
だから俺は人差し指をずいっと月夜に突きつけた。
「その代わり……」
言っても大丈夫だろうか?
ちょっと不安になるけれど、でも言いたい。
俺のお願い。
月夜は聞き入れてくれるかな。
不安だけど、ええい言ってしまえ!!
俺は尻込みしてしまう自分に叱咤して胸を張った。
「うん?」
月夜は下げていた顔を上げた。
端麗な顔が俺と向き合う。
月夜の瞳に俺が写っている。
……うう、なんだかドキドキする。
この気持ちはきっと俺だけだろうな。
だって月夜より俺の方がずっとずっと月夜のことが好きなんだから――。
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