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⑤はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

 学校では、ほら。  月夜ってすごく人気だから、休憩時間になったらいつも女子に呼び出されて告白されるだろう?  ふたりきりで話す時間がないんだ。  朝と晩は一緒だけど、でも恋人同士なんだもん。  だったらもっと一緒にいたいって思うだろう?  でも、さすがに仕事先まで押し掛けるのは迷惑だよな。  背中を向けて月夜から離れると……。 「いいよ」 「へ?」  思ってもみなかった二つ返事が聞こえて振り向いたそこには、満面の笑みを浮かべた月夜がいた。 「花音についてきてほしい」  戸惑う俺に、今度は月夜が俺にお願いをしてきたんだ。  月夜……。 『ついてきてほしい』なんて――。  なんて気遣いの上手い人なんだろう。  おかげで俺は今とても居心地好く、『行く』と言えるんだ。

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