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⑭はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。
「あ、あの!!」
ぐ、ぐるじい。
息ができない。
離してくれ……。
俺、死んじゃう。
女性にプロレス技かけられて死亡なんてシャレにもならない。
だけど相手は女の子だし、乱暴はできない。
どうしようか迷っていると、俺の腕が後ろへと引っ張られた。
「わわっ」
俺は見事、月夜の腕の中にダイブした。
「もう、月夜くんの意地悪」
彼女は口を尖らせ、いじけている。
「彼女はダメですよ。花音、こちらはウエディングプランナーの和泉 ココノさん。ココノさん、彼女は許嫁の篠崎 花音 さんです」
月夜から紹介されて、俺はペコンと頭を下げた。
月夜に注意された彼女は悪びれることもなく、ますます目を輝かせた。
「やっぱりそうなのね。さすが月夜くんが一目惚れするだけあるわ~。とても可愛らしいもの」
「えっ?」
一目惚れ?
どういうこと?
ココノさんの言葉に、俺は思わず月夜を凝視してしまった。
「あら? 月夜くん、まだ言ってなかったの? 彼、あなたの写真を見て一目惚れしたらしいわよ。いいわねぇ、青春ねぇ」
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