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⑰はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

 月夜を見つめている俺の隣でココノさんが静かに口を開いた。 「だって花をあれだけ繊細に扱うのよ? それに彼の独特の雰囲気っていうのかしら? 繊細な中に主軸とした筋が通っているの」 「そうですね……」  俺は月夜の真剣な眼差しを見ながら頷いた。  それは複雑な気分だった。  月夜はまだ高校生なのに、もう自分というものをしっかり持っていて、きちんと前を見据えている。  それなのに俺はどうだろう。  勉強がダルいとか、眠いとか。  そんなことばかり言っているんだ……。  自分が恥ずかしい。 「どうしたの? 今日は疲れた?」 「え?」  月夜が口を開いたのは、すっかり仕事が片付いた頃だった。  来る前はあんなに太陽が高い位置にあったのに、すっかり傾き、夕陽が赤々と燃えている。

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