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⑱はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

 ココノさんと別れ、俺と月夜は家を目指して畑が並んだ小さな道路を歩いている。 「あ、えっと……なんでもない」  疲れたのは月夜の方だろうと言いたくなるが、落ち込んでいるためにそれが言えない自分がいる。  そんな狭い考えしかできない自分にさえ腹が立ってくる。  無言で歩いていると……。 「やっぱりタクシーの方がよかった? 徒歩じゃ疲れるよね」  行きは急いでいたからタクシーで来たが、帰りはゆっくり帰りたいと言い出した月夜は、電車で帰ることを提案したんだ。  会場から駅までの距離はだいたい15分はかかるらしい。  仕事で疲れている月夜のことを尊重した俺はもちろん月夜の提案を突っぱねる理由はない。異論なんてもちろんない。 「あ、違うんだ!! 俺もタクシーより電車が好きだし……あの、これは、その……」  やはり、言わなければならないのだろうか……。

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