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⑳はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

 俺の気持ちを口にしなければ月夜にはわからない。 「今日の月夜……カッコイイなって……思ってさ……自分の道を持って、しっかり前に進んでいってさ……」 「うん」  月夜は詰まる俺の言葉をジッと待ってくれている。 「だけど、わたしは……何もないっていうか……恥ずかしいって思って……」  自分というものをきちんと持っている月夜を妬んでいる自分がいるんだ。  こんな俺、みっともなくて恥ずかしい。 「花音は、俺がなぜこの場所にくじけることなく生きていられるのか、わかる?」  月夜の顔を真っ直ぐ見つめることができなくなった俺に、ゆっくり話しはじめた。 「この華道という道は趣味でなら楽しいとも思えるだろう。だが、俺のこの道は、『葉桜』としての流儀が存在する。俺が少しでも失敗すれば、門下生はいなくなり、『葉桜』は消滅する。正直、この道が苦しいと思った時もあるよ。でもね、そんな俺を支えてくれる人が現れたんだ」

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