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㉒はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。

「月夜……」  顔を上げた俺の目の前には、穏やかな優しい笑顔の月夜がいた。 「好き。大好き。月夜……」  俺は、俺よりも頭ひとつ分高い背の月夜へと背伸びをして……静かに口づけた。  そうすると、月夜も俺の肩をそっと引き寄せてくれる。  ……月夜。  道端だということも忘れ、たくましくも繊細である月夜の広い肩に手を添えて、彼に身を任せた。  あたたかな腕の中で思うのは……願うことは、俺も月夜のように、揺るぎない信念をもった人になりたい。  自分を弱いものと認め、そして真っ直ぐに歩いていく人になりたい。  願わくば……月夜を支えたい。  ただそれだけをひたすら願った。  《第十一話・はじめてのデートは甘くて苦いカカオの味。・完》

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