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①ライバルは突然牙をむく。

 ◆第十二話◆  月夜(つきや)と両想いになって。  初めてデートして。  俺からのキスして。  少しずつ。  少しずつだけど月夜のことを知っていく――。  知らなかった月夜を知れて嬉しい。  足下がふわふわする。  そんな幸せな日常は5日目を過ぎようとしてた。  俺自身、この幸せは、けっして長く続かないだろうことは知っていた。  だけど、その時はあまりにも早く来たんだ。  ――それは火曜日の放課後。  下校途中。  正門のところで、月夜と俺は呼び止められた。  月夜の父親、嘉門さんと仲が良い父親を持つ、藤堂 御影(とうどう みかげ)――。  ここは裏庭。  放課後ということもあってか人気はない。  静かだった。  月夜と俺を呼び出した藤堂は珍しく一人。  いつもなら一緒に引き連れている取り巻き連中がいない。  相手が女子一人ならなんとかなる。

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