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②ライバルは突然牙をむく。
そうは思うものの、堂々とした彼女の姿を見た俺は、何かとてつもないことになりそうな予感がして、安心できなかった。
とにかく、とても嫌な予感がするんだ。
そんな俺を追い詰めるように、時々冷たい木枯らしが吹く。
まるで俺からすべてを奪っていくような――。
今まで大切にしていた物の何もかもを吹き飛ばしていってしまうような、乾いた風だった。
「藤堂さん、いったいどうしたの? 俺たちをこんなところに呼び出したりして……?」
はじめに口を開いたのは月夜だ。
月夜が尋ねると、藤堂はおずおずと月夜を見上げた。
「月夜くん……あの……」
なんなんだろう。
月夜と俺との、この態度の違いは――。
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