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③ライバルは突然牙をむく。
俺の時はとても恐ろしい形相で睨んでくるのにさ。
月夜といる時はしおらしい、おしとやかなお嬢様になる。
なんかモヤモヤする。
そんな俺の感情を知ってか知らずか、彼女は口元に両手を当てて、とても悲しそうに月夜を見つめている。
……ったく、よくやるぜ。
このお嬢様。
こっちはもう、本性知ってるってのにさ。
今さら可愛い子ぶるなよ。
取り巻き連中に命じて強姦まがいなことをしようとしたくせに……。
そうは思っていても証拠がないから言えるわけがない。
それに、月夜には心配をかけたくない。
これ以上、迷惑はかけたくない。
「…………」
俺は文句のひとつも言えないまま沈黙する。
彼女は目を潤ませ、今にも泣き出しそうな顔をして話しはじめる。
「あたし……篠崎 さんとは友達になれると思っていたの……」
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