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⑮ライバルは突然牙をむく。
「えっ?」
急に変わった視界。
びっくりして顔を上げると、そこには月夜の顔があったんだ。
……な……に?
なんで俺は今、月夜に横抱きにされてるの?
自分が見ている光景が信じられない。
何度も何度も瞬きを繰り返す。
目に溜まった涙を乱暴に拭い取り、目の前にある端正な顔立ちをした月夜を見つめた。
――何が起こってるの?
冷ややかな視線を向けられて軽蔑されると思った。
同性に恋した俺を気持ち悪いって拒絶されると思った。
だけど――……。
月夜は俺じゃなくて――。
藤堂を睨んでいたんだ。
ダメ。
意味がわかんない。
俺は向かい合うふたりを交互に見つめる。
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