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⑱ライバルは突然牙をむく。
これは脅しなんかじゃない。
警告だ。
――怖い。
このことを知った嘉門さんがどう出てくるのかが怖い。
やっと……月夜の側にいられるのに……。
だけど今はそれどころではない。もし、俺と月夜が恋仲になっていると知られれば、月夜の立場は――?
こんなこと、世間が許さない。
一般人の俺は自分のことだけを考えていればいいかもしれない。
だけど月夜は違う。
月夜は葉桜としての家を背負っている身だ。
だから月夜の事を本当に想っているのなら、俺は彼から離れなければならない。
それなのに離れたくないって思うワガママな自分がいる。
月夜から去らなきゃ。
せっかく両想いになれたのに――?
いやだ。
離れたくない。
だけど月夜を困らせたくない――。
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