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①思い=想い

 ◆第十三話◆ 「さあ、どこから話そう……」  ここは厳重なセキュリティーに守られた月夜(つきや)の別荘。  俺は今、ベッドに座らされている。  そんな俺の前にひざまずき、ゆっくり話し出す月夜は、まるでどこかの王子様のようだ。  トクン。  優しい眼差しを向けられて、俺の胸が高鳴る。 「……今から8年前かな……。祖父の写真を見つけたんだ。君のお祖父さんと妹さん。それから君も一緒に写っている写真を、ね」 「それって……」 「うん、そう。その写真で君に一目惚れをしたんだ。俺はひと目見たその時から、真っ直ぐなその視線を自分のものにしたくて仕方がなかった」  ドキン、ドキン。  俺の心臓が跳ねっぱなしだ。  そんな俺に、月夜は大きく(うなず)いた。

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