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⑥思い=想い。

 月夜はそう吐き捨てると、影が被さってくる。 「――!!」  そうかと思えば次の瞬間、俺の口が月夜によって塞がれた。 「んむっ、んっ。あ、あの……月夜……っちょっ、ちょっと待って! ストーップストップ!」  月夜の胸板を押し、少しだけ解放された俺は荒くなる息を整えるため、深呼吸する。  それなのに月夜は俺の両腕を意図もあっさりと片手で拘束し、頭上に押さえつけた。  綺麗な顔をしていても、月夜はやっぱり男なんだ。  力が強いな……って!!  俺、今それどころじゃない!!  この体勢ってなんかすっごく危険なんじゃない? 「つき、やっ」 「いつだって俺が見ていたのは君だった」 「……っはぅ」  耳元で告げられたその言葉は俺の耳孔を通り、体が熱くなる。  ……もう、俺。  どうしたらいいんだよ!!  ちょっとしたパニックに襲われる中、月夜はそれでも淡々と話していく……。

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