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⑨思い=想い。
「俺はね、亜瑠兎。『花音 』としてではなく、『きみ』として抱きたかったから、必死にこの感情を我慢して今の今まで過ごしていたんだよ。それなのに、君は同室で寝るって言い出すし――それだけじゃない。お風呂から上がったばかりの濡れたままの無防備な姿でやって来るでしょう? そうやって俺を誘惑するくせに、君はなかなか肝心なことを言ってくれないんだ」
誘惑……はしてません。
絶対にしてません!
まあそれはさておき。
正体をずっと言えなかったのは認めるよ。
俺が臆病者だっていうことも含めて。
「だって……俺の正体がバレたら、きっと気味悪がられるって思ったんだ……」
男が男に恋をするなんて、どう考えてもおかしい。
月夜に嫌われたら俺は生きていけない……。
それくらい月夜が好き。
月夜に嫌われたくなくて――。
軽蔑されるのが怖くて――。
なかなか言い出せなかった。
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