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⑧思い=想い。
ちょっぴり苛立って月夜を睨 めば――。
彼は目を細めて笑った。
「ほら、君はそうやってね、見つめ返してくるでしょう?」
――――。
――――。
はいいい?
月夜は今、何て言った?
見つめ返してくる?
これは違う。
見つめてるんじゃない睨んでいるんだ!!
またもや反論しようと口を開く。
「つきっ、んぅ!!」
だけどそれ以上、何も言えなくなった。
俺の口がまた、月夜に塞がれたからだ。
「亜瑠兎、俺は君をずっと欲していた」
「……ん、ん」
チュッ、チュッ。
言葉が途切れるたび、俺の口にキスが降ってくる。
リップ音がやけに大きく聞こえる。
月夜にたくさんキスされて恥ずかしいと思う反面、嬉しいとも思う。
だって俺、月夜が好きだから。
すごく好きなんだ。
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