202 / 305

③思い=想い。

 まぶたが熱くなる。  俺……泣きそう。  でも悲しいんじゃない。  その証拠に、俺の心はぽうっと蝋燭が灯ったみたいにあたたかだ。  ずっとずっと優しい気持ちになる。  愛おしいって、こういうことを言うのかな。  俺、月夜がすごく好き。  すごく好き。  ああ、ダメ。  無理だ。  込み上げる感情を抑えることができない。  月夜へのたくさんの好きが俺の胸から溢れてしまう。  蜂蜜色の髪を掴んだ手をそっと口元に運ぶ。  キスをした。 「――困った人だ」  すると月夜がぽつりとつぶやいた。 「?」  何がだろう?  顔を上げると、眉根を寄せて苦笑する月夜が見えた。  俺が首をかしげるのと同時だった。  月夜の腕が急に伸びてきたかと思ったら、直ぐさまベッドに押し倒された。  すぐ目の前には月夜の真剣な眼差しがある。 「つきや?」  ドキン。  重なり合う視線に、俺の胸が鼓動する。

ともだちにシェアしよう!