215 / 305
①優しい王子様との付き合い方。
◆第十四話◆
気だるい中にもあたたかな体温が俺の心を満たしていく……。
まるで春の木漏れ日の中にいるように穏やかだ。
とても落ち着く。
時刻は午後19時を回ったところ。
いつの間にか眠っていたらしい俺は、ふと目を覚ました。
天上には豆電球が優しく見守るように部屋を照らしている。
そんな俺の隣には月夜 がいる。
彼は今、茶色い目を閉ざして眠っている。
眠っていても綺麗だから困る。
長い睫毛 。
すっと通った鼻筋の下にある薄い唇。
蜂蜜色 をした腰まである髪。
まるでお伽噺 に出てくる王子様みたいだ。
俺は、俺を魅了して止まない月夜の薄い唇に吸い寄せられるように、指を滑らせた。
……弾力があって、いつも微笑を浮かべる唇。
頬やこめかみ。
口にキスされたし、首筋にもキスマークもつけられた。
この唇にたくさん触れられたのだと思うと、胸がキュンと締めつけられる。
ともだちにシェアしよう!