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②優しい王子様との付き合い方。
いくらか月夜の唇の感触を楽しんでいると、伸ばした手がふいに掴まれてしまった。
「亜瑠兎 、そんなに誘惑しないで……」
てっきり眠っていたとばかり思っていた月夜は、いつの間にか俺を見つめている。
ドッキン!
俺の心臓が大きく跳ねた。
「つきや!! 起き……っ、ひ、あっ!!」
起きてたの?
言葉の途中でおかしな声が出てしまったのは、月夜が俺の指先を舐めたからだ。
おかげで俺の体中に震えが走る。
ドクン、ドクン。
心臓がひっきりなしに大きく鼓動する。
舐められた指先から全身が痺れていくようだ。
みぞおちが熱を持ちはじめる。
俺は慌てて伸ばした手を引っ込め、背中を向けた。
……だけどヘンなんだ。
月夜の視線から逃れられたはずなのに、バクバクと音を立てている心臓は一向に鎮まる気配がない。
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