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③優しい王子様との付き合い方。
ドクン、ドクン。
大きく跳ね上がる心臓。
このままじゃ、どうにかなってしまいそうだ。
背中を丸めていると――。
俺の気持ちを知ってか知らずか、背後から月夜の腕が伸びてきた。
「――はぅ」
体が力強い腕によって捕らえられてしまう。
「本当に亜瑠兎は可愛いなあ……愛おしいよ。だけどね、こうも視線を逸らされると君を抱いた後だから、怖がらせてしまったかと思って不安になるんだ」
「……抱っ!!」
抱くとか簡単に言うなよ!
恥ずかしい!!
それに俺は可愛くなんてない。
だけど月夜に――好きな人に言われるのは嬉しい。
抱かれるのも嫌じゃない。
だけど……こんなこと、言えやしない。
恥ずかしい!
俺、ムリ。
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