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①悲しい想いを秘めて。
◆第十五話◆
月夜 に抱かれた体はいまだ気怠い。
ソファーに横たわり、テレビから流れる映像をただぼんやり眺める。
そんな俺の耳に入ってくるのは、バスルームから聞こえる水音だ。
月夜は今入浴中。
それは晩ご飯を食べ終わった後のことだ。
奴はあろうことか、『一緒に入る?』とかぬかしやがった。
一緒になんて入れるわけがない。
あんな明るいところでふたりでとか、絶対にムリ!!
月夜と視線が重なっただけでもドキドキするのに、明るい照明の下で一緒に風呂に入ろうものならどうなることか。
心臓がいくつあっても足りない。
俺が断固拒否すれば、『いまさら恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?』と、微笑まれた。
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