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①俺が王子様のためにできること。
◆第十六話◆
ああ、とうとう朝が来てしまった。
力強い太陽が雲ひとつない青空に昇っていく。
俺はひとり、その光景を見ていた。
隣では静かな寝息をたてて眠っている月夜 がいる。
――今日で……。
月夜と過ごす時間が終わる。
だからこの目に月夜を焼き付けておきたかった。
昨晩、俺は意識を失うまで、月夜を求め続けた。
俺の体には、月夜に抱かれた痕が残っている。
朝方までずっと月夜に抱かれて疲れているはずなのに。
どうしてかな……。
頭が冴えている。
今日で月夜と別れる。
月夜を想いすぎた胸が苦しい。
涙が、溢れてくる……。
月夜……。
眠っている月夜。
もっとずっと見ていたい。
できることなら隣で、貴方が華々しい世界へ飛び立っていくその姿を見たかった。
ああ、だけどもう時間だ。
時計を見れば、もう5時30分。
嘉門 さんと約束した刻限が迫っている。
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