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②俺が王子様のためにできること。
俺は軽くシャワーを浴びるとクローゼットの中から花音 の服を引っ張り出した。
今日俺が選んだ服は、レースやフリルが大好きな花音にしては珍しい、パーカーとジーンズというシンプルなものだった。
ほぼ夜通し月夜に抱かれたことで重くて怠 い体は悲鳴を上げている。
だけど、俺は月夜に抱かれたことを後悔していない。
むしろ今だってずっと月夜の吐息を感じたいと思っている。
このまま、別れなんて来なければいいのに……。
だけど最後にしなきゃ。
月夜の幸せを俺が潰しちゃいけない。
「今までありがとう。月夜、大好き」
寝室に戻り、眠っている月夜にそっと耳打ちすると、俺は重い足取りで葉桜家 へと向かった。
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