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⑦俺が王子様のためにできること。

 嘉門さんの口調はとても淡々としている。  何の前置きもなく告げられる言葉はまるで事務作業をしているかのような存外な言い方だった。 『月夜と別れてほしい』  この結末を覚悟してきた。  ……そう言われることくらい、知っていた。  だけど……さ。  あらためて嘉門さんの口から聞いてしまうと俺の体が縮こまってしまう。 「君では月夜に相応しくない。――いや、君が女性であれば問題はなかったんだよ。だがね……。あれは葉桜の次期当主だ。それが同性と関係を持っていることが世間にでも知られれば、世間から後ろ指を指されてしまう。それに何より、月夜は葉桜を継ぐ身の上だ。跡継ぎが必要になる」 「はい、わかって、います」  月夜と両想いになったその時から、別れなければならないのは覚悟していた。  俺の立ち位置は十分に理解している。

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