嘉門さんは信じられない気持ちでいっぱいだろうと思うけれど、俺が月夜に寄せている想いは本物なんだ。 　――ああ、胸が痛い。 　胃がムカムカする。 　抑えきれないこの感情を、俺はこの先どうやって過ごせばいいのだろう。 　……いつか。 　月夜を忘れられる日が来るだろうか。 　だけど今の俺には月夜以上に好きな人が現れるとは到底思えない。 　目頭が熱い。 　キリキリ胸が痛み出す。 　……涙、出そう。 　でも今はダメ。 　泣いちゃいけない。 　俺は必死に涙を堪える。 「この一件は君のご両親にもけっして口外しないと約束しよう。お互い知られたくない事実だろうからね」 　俺の目の前では嘉門さんは腕組みをしている。 　月夜が俺を抱いたという事実に、さすがの嘉門さんでも罪悪感が芽生えたのか。 　嘉門さんは俺たち家族を訴えるようなことはしないと約束してくれた。