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②『大嫌い』は大好きの裏返し。
はじめてのデートはなくなってしまったけれど、熱心に仕事をする月夜の凛々しい姿に惚れ直して……。
その帰り道で、俺ははじめて自分からキスをした。
それから――。
藤堂 御影 に俺の正体を見破られた。
あの時はどうしようかって焦ったなあ。
だけど月夜は俺が亜瑠兎 だって知っていて……。
俺の正体に気づいていながら、月夜は今まで何も言わず、ずっと、『亜瑠兎』として見てくれていたんだ。
月夜と過ごしたこの数週間は、以前の俺では考えられないくらいたくさんの出来事があった。
恋を知って……。
抱かれて……。
だけどもうすぐ月夜はいなくなる。
俺はひとり、孤独な時間を過ごす。
ねぇ、月夜……。
あなたはきっと藤堂と愛を育んでいくだろう。
彼女はとても美人で一途な女性だから……。
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