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③『大嫌い』は大好きの裏返し。

 はじめはどうであれ、あなたは彼女の一途な気持ちに惹かれていくだろう。  そうしてあなたは俺との恋が間違っていることに気づき、俺を選ばなかったことにほっとするんだ。  ……だけどね。  俺はあなた以外に恋する術を知らない。  もう、二度と会うことはないけれど、それでもあなたをひっそり想うことは許されますか?  お願いだから、それくらいは許してほしい。  俺は、月夜との間に起きたたくさんの出来事を思い返しながら帰路につく。  気がつけば、俺はもうマンションの中だ。  エレベーターに乗っていた。  どうやらもう目的地に着いたらしい。  到着を知らせるベルの音がして、間もなくドアが開いた。  503号室。  広がる視界の先には、月夜と過ごした部屋がある。  これで、月夜とはお別れだ。 「――つ」  唇がへの字に曲がっていって、嗚咽が漏れそうになる。  泣いちゃダメだ。  月夜に涙は見せられない。  俺が泣けば、優しい月夜は絶対に俺と別れないと言うだろうから……。  同情されちゃダメ。

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