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⑬『大嫌い』は大好きの裏返し。
そうしたら、俺は家に帰っておもいきり泣けるから。
いたたまれなくなった俺は、苦しそうな月夜からとうとう視線を逸らしてしまった。
「俺は、承諾していない」
俺の頭上から、月夜の声が響いた。
その途端だった。
「なにを言っ……!?」
俺の口が塞がれた。
月夜?
目をこじ開けて、月夜を見つめる。
その間にも月夜とのキスが深くなっていく――。
月夜と別れる。
その決意が、たったこのキスだけで崩れてしまいそうになる。
みぞおちが……熱い。
「んっ!!」
やめて!!
これから別れるのにこんなキスはしないで。
拒絶したいのに、深い口づけのせいで動けない。
体から力が抜け落ちていく。
「んぅ……」
そしてとうとう俺の腰がくだけてしまった。
転ける!
覚悟して目を閉じた。
だけど力強い腕によって崩れ落ちる俺の体が支えられた。
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